8年ぶりに監督に返り咲き、ベストセラーになった辻内智貴原作の小説『セイジ』を映画化した伊勢谷友介監督が来福。「人類が地球に生き残るためのプロジェクト」 リバースプロジェクトの代表も務める伊勢谷監督に本作への思いなど映画『セイジ-陸の魚-』にについてお話しを伺って来ました。

■傍観者である"僕"、寡黙で謎に包まれたセイジを演じるお二人にはどんな話をされましたか?
森山さんにはほとんど何も言ってません。彼の"僕"という役柄に対する追求は、監督を凌駕するんですよ。東京から栃木にあるHOUSE475まで自転車に乗って現場に入ってきてくれたりとか、動物愛護団体のシーンで、様々な提案をしてくれて、"僕"という傍観者が世代を代表する視点をきちんともっている役にしてくれたので非常に助かりました。西島さんにも、演出に関してほとんど言ってるつもりはなかったんですが、西島さん曰く、すごく細かく指示していたようで、、(笑)
西島さんは、さらっと現場に入る方で、ほとんど演出をしなくてすみました。ですが、フィルムを"僕"と見るシーンのときは、「椅子に座るのは無理だ」って西島さんが仰ったんです。普通に考えたら自分の大事な過去なので、普通の流れだと怒ってしまうと思うんですよね。でもセイジは違う感覚でいってくださいってお願いしたら、そこをすべて理解してくれました。その場面で、セイジがニヤッとまで笑ってくれたので。あの笑顔にはゾッとしましたね。少ない言葉で西島さんも森山さんも120%、130%まで引き伸ばしてくださるような役者さんだったので仕事が少なくてすみましたね(笑)
■8年ぶりに映画をつくられたきっかけは?
制作費が集まったからです。(笑)起承転結のあるエンターテイメントだと比較的万人受けし、お金も集まりやすいんですけど、本作はそういう映画ではないので。今回8年経ちましたけど、自分の中でセイジそのものを理解するには非常に重要な時間でもありました。僕からするとその空いた時間は、僕の成長の為、そしてセイジを理解する為に必要な時間でした。だから焦らなかったことが僕はえらかったです。焦ったらダメですね(笑)セッカチなんですけどね。
■監督、俳優と多方面で活躍中の伊勢谷監督が表現者として大事にしていることは?
監督のときは、俳優の気持ちは全く持ち込まないですね。逆の場合も。むしろやっていることによって、してほしいこととかこうしてほしくない部分っていうのがあるので。自分の好きな俳優さんが自分が思ってる脚本を100%のイメージからもっと上げていってくれるんですよ。監督としてはすごく幸せな時間ですよね。
今いろんな表現形態を持たせてもらっていますが、その立場が違えば内容が違うということはありません。役者のときは、役柄が自分の中に入ってくるんですが、監督のときは、自分のことを考えないことですね。なるべく自分を捨てます。脚本っていう設計図があるのでだいたいやることはわかってるんですけど、それ以上にみんな思いを入れてきてくれて、自分の思っているものより良くなったりします。それが良い映画になる秘訣だと思っています。ある意味、僕はみんなを上手くまとめているように見えて、観客のことしか考えていないことが映画監督の信条だと思います。

■映像を撮るにあたって一番こだわった点はなんですか?
自然と人工が拮抗している場所が大前提だったのでダムという舞台を準備しました。緑がものすごく多くなくちゃいけなくて、自然の中に我々が生きているっていう印象をつけたかったんです。緑もそうですけど、太陽、山、雲、生物など、そういうものをどんどん撮っていきました。そこはこだわりました。一作目の映画では、撮りきれないものがあったりしたのですが、今回は、若いスタッフと協力しながら本当に素敵な映像が撮れたと満足しています。
■今後リバースプロジェクトを伝えていくにあたって、映画など取り組みたいことはありますか?
はい!ありますね。ああしたい、こうしたいって頭の中では想像つきやすいと思うんですけど、それをまだ現代の中で具体的にどういうふうにやるのかってイメージできてる人は少ないので、ちゃんと成長して自分のたちの生活を自分たちでつくっていけるような社会をつくる、そのことが僕が今年やらなくちゃいけない大事なことだと思ってます。
「自分の意見で自分たちの生活がつくられる」っていう事実をつくることで僕は市民自体が成長すると思うんです。
そして、同時に衣食住に関わること、イベントだったり、様々なことを僕らは今年もやり続けます。あともう一つ映画はつくりたいなって思ってます。この世界が抱えている問題をリバースプロジェクトが伴って何をやるかってことで、今後良いものがつくれたらいいなって思います。リバースプロジェクトとセイジを見比べてもらえれば何か伝わるかと思います。
■メッセージをお願いします!
人生二作目の映画なのですが、一作目でできなかったことを二作目で最大にやらせて頂き、かつ十二分な役者さんに集まって頂いたので僕の中でも気に入った作品になりました。本当に皆さんに見てもらいたいと思います。セイジを観てもらって人を助けるってことはどういうことなのか。人類ってどういう生き方をしていかなくちゃいけないのか考えてもらえればと思います。